「にんじん」の今後

みなさんが普段買う「にんじん」は国産モノですか?それとも輸入モノですか?好みも人それぞれだと思います。ですが、最近ちょっと国産よりも輸入品のほうが多く見られるようになり淋しい気もします。今後も私たちにとって欠かせない食材であり続ける「にんじん」は、どのように変わっていくのでしょう?

「にんじん」の輸入量

 

日本では国内でも、もちろん数多くの「にんじん」を生産していますが、輸入品に頼っている部分も少なくありません。本当に多種の生鮮野菜が日本へ輸入されていますが、その中でも上位を占めるのは玉ねぎ、かぼちゃ、ブロッコリー、ごぼう、にんじん・かぶの5品目になっています。さて、ニンジンの輸入量はどれくらいになるのでしょう?ここで例を挙げたいと思います。2004年に農林水産省から発表された生鮮野菜の総輸入量は101万6560トンで、そのうち「にんじん・かぶ」の輸入量は58649トンでした。ニンジンとかぶが同じくくりなので、人参のみの明確な数字ではありませんが…。野菜全体としても、輸入量は年々、増加していると言われています。「輸入にんじん」が増える大きな理由の一つに、品薄などによる国産モノの価格高騰が考えられます。一方で今、何かと世間を騒がせている鶏肉や牛肉など肉類の諸問題をマスコミが大きく取り上げているときは、肉料理の付け合わせなどに使われることが多い人参の需要は落ち込みます。このように人参は他の食材の需要によって輸入量が左右される場合もあります。

「にんじん」の輸入国

 

それでは、日本はどこの国から一番多く人参を輸入していると思いますか?おおよその見当はついているでしょう。それは中国です。生産量の項目でも書いたように、中国は世界でニンジンの生産量が最多ということで知られています。このことから必然的に日本への輸出量も増えるというわけですね。ですが、1997年頃までは中国ではなく、台湾が輸入第1位だったんですよ。ところが、1998年からは中国は第1位になり、今に至ります。現在では日本が輸入するニンジンの8割近くが中国産といってもいいと思いますよ。一口に中国といってもとても広く、良質のニンジンがとれる地域として高い評価を受けているのが、河北省、内蒙古、吉林省などです。肥沃な土地、天候などがニンジンの栽培に適しているのでしょうね。中国や台湾のほかにオーストラリアなども多くの人参を日本へ輸入しています。


「にんじん」の未来は?

 

今後、日本の「にんじん」は、どうなってしまうのでしょうか?安価、国産原料が少ない、数量・品質の安定などのメリットがある「輸入にんじん」は増えていく一方です。冗談ではなく、このままだと店頭に輸入モノばかりが並ぶ日も、そう遠くはないかもしれません。ですが、今のところ国産モノが激減しているわけでもなさそうです。輸入モノは品種改良が重ねられ、特有の匂いがしなくて食べやすいのが特徴です。このため、多くの人が好んで食べています。輸入品は魅力的ですが、ここでちょっと考えてみてください。輸入品にばかり頼っていていいのでしょうか?いつ何時、輸入がストップするか分かりません。こういうときのために、普段から国産のニンジンを見直しておかなければいけませんね。双方の不足時を補いながら、半々くらいの良いバランスで利用するのが理想的なのではないでしょうか。一消費者として食卓から日本産のニンジンが消えないことを願っています。


日本の食文化の今後

最後に「にんじん」などの野菜だけではなく、食料品全体の今後についてお話しようと思います。今、日本の食卓は海外からの食材で成り立っている部分もあるといえます。日本では外食したり、出来合いのお惣菜を買う人が増えています。外食産業などでは、さっきも書いたようなコスト面や品質、供給量の理由から原材料を輸入に頼ってしまう傾向があります。国内は農地が少ないため、このような外食または中食産業のニーズに十分対応することができません。日本の農業は徐々に衰退しています。これは輸入問題だけが原因ではありませんが、わたしたちはもっと国産品を利用していかなければならないと思います。できるだけ家で国産の食材を使って料理することも農業を支える一つの手段になるのではないでしょうか?