人参は品種が豊富

人参は品種が豊富

普段、お店などでそんなに色んな品種の「にんじん」を見かける機会は少ないのではないでしょうか? 私自身は特別「にんじん」の品種にこだわりを持ったことはありません。トップページで少し触れましたが、人参にはアジア型とヨーロッパ型に分けられます。具体的にどんなものがあるのが紹介していきましょう。

「にんじん」の品種・アジア型の特徴

それでは、まずアジア型のニンジンから見ていきましょう。人参はヨーロッパ、北アフリカ、中近東に自生している野生種のものが、アフガニスタンで野菜として栽培されました。それらがシルクロードを経由して中国へ渡ったものが「アジア型にんじん」と呼ばれています。「アジア型にんじん」の特徴は赤っぽい色が多くて、根が長く、人参そのものがとても軟らかい点です。風味がよくて食べやすいのですが、ニンジン最大の栄養素であるカロチンが含まれていないため、ヨーロッパ型よりは栄養の面からみると少し劣るでしょう。とはいえ、甘さや色合いを生かした煮物やナマスなどの料理に適しています。ですが、根が長く栽培しにくいという欠点に加え、ヨーロッパ型の登場で隅に追いやられてしまいました。現在では生産量の減少とともに品種数も大幅に減ってしまいました。

「アジア型にんじん」の品種

「アジア型にんじん」のおもな品種を紹介しましょう。アジア型の中には、今はもうほとんど作られていないものも多いですね。

「金時にんじん」

別名を「京にんじん」とも言い、京都などではお馴染みの野菜です。残っている数少ないアジア型の一つですね。長さは30cm前後と中くらいです。軟らかくて甘みも強いので美味しいですよ!ニンジン特有の匂いが少ないことも特徴といえるでしょう。

滝野川大長(たきのがわおおなが)

長さが70cmもある「にんじん」です。良質なのですが栽培が難しく、トウ立ちもしやすいことから、1960年以降になって急激に減少し、現在ではほとんど栽培されていません。

「島にんじん」

「琉球にんじん」とも呼ばれています。見たことがある人は分かると思いますが、パッと見で目を引くのが黄色い色ではないでしょうか?30~40cmの細長い形をしています。沖縄産のものらしく、暑さに強いという特徴があります。甘みも十分にあるので煮物や炒め物に最適です。

「にんじん」の品種・ヨーロッパ型の特徴

現在、出回っている「にんじん」の多くはヨーロッパ型です。オレンジ色で甘みも強く、カロチンも豊富に含まれています。通常、夏から秋に収穫する寒冷地型と、秋の終わりから冬に収穫する暖地型に分類されます。トンネル栽培されるようになってからは、冬の終わりから春にかけても収穫できるようになりました。このおかげで私たち消費者は一年中、いつでも「にんじん」を口にすることが出来るようになったんですよ。国分大長(こくぶおおなが)などの長根種もありますが、人気があり大量生産されているのは短根種です。この長さの平均が15cmほどの小さなサイズが「ヨーロッパ型にんじん」の特徴ですね。9~10cmは三寸、12~15cm前後は四寸、15~20cmは五寸というように日本国内で葉分かれしていった品種は根の長さによって品種名が付けられています。現在の一番人気は「五寸にんじん」です。そのほか、ナンテス系やミニキャロットなどもあります。

「ヨーロッパ型にんじん」の品種

「ヨーロッパ型にんじん」のおもな品種をご紹介しましょう。

「三寸にんじん」

早生(わせ)品種で、長さ10cmほどの円すい形をしています。ころんと可愛い感じのニンジンです♪生育は早いものの収穫量が少なく、昭和30年代半ばから次第に減り始めました。

「五寸にんじん」

私たちがいつも食べている、ごく一般的な品種で、根の先が丸くて詰まっているものが多く見られます。太めで使いやすく、幅広い料理に用いられています。

国分大長(こくぶおおなが)

アジア型の滝野川大長と同様に、長さが60~70cmにもなるものです。甘くて軟らかく良い人参なのですが、栽培に手間がかかって大量生産できません。なので、現在ではお正月用としてほんの少しだけ出荷されるにとどまっています。

「ナンテス系にんじん」

この人参の特徴は頭とお尻の太さが変わらない点にあります。ヨーロッパ地方ではたくさん栽培されていますが、暑さに弱いという欠点があるため、日本国内の主な産地は北海道となっています。その形から見た目がよく盛り合わせなどに重宝します。

ミニキャロット

ベビーキャロット、一口人参とも呼ばれ、その名のとおり長さ7~10cm程度の小さな「にんじん」です。サラダに使われることが多いですね。また、お弁当に入れるのにも便利ですよ。ヨーロッパでは温床栽培されています。

「薬用にんじん」の品種

最後に「薬用にんじん」について紹介します。漢方に利用される朝鮮人参などオタネニンジンと呼ばれるものはウコギ科の植物で、「食用にんじん」とは全く別のものです。


高麗人参(朝鮮人参)

高麗人参と朝鮮人参はほぼ同じものと考えていいでしょう。昔は中国以外にもロシア、朝鮮半島などの広範囲に自生していました。今では中国でも天然モノはあまり見かけなくなりました。私たち一般人が手に入れられるのは主に韓国産や日本産の高麗人参です。

竹節人参

この「にんじん」は1630年代に九州の山中で発見されました。北は北海道、南は沖縄まで全国各地に自生しています。一般に「薬用にんじん」と言われる朝鮮人参などとは多少効能も違いますが、代用品として重宝していました。

田七人参

別名を三七人参とか田三七と言い、これもウコギ科の植物です。アジア地域では止血剤、鎮痛剤としての役割を果たしてきました。最近はコレステロールを下げたり、ガン予防の効果があるとして注目されています。